1.はじめに
 EPSはその軽量性や断熱性などから、さまざまな場面で使用されています。このEPSはポリスチレンからできていますが万能ではなく、その用途に応じて正しく使用しなければなりません。
 昨年度、EPS建材推進部におきまして、耐薬品性ということで特に耐溶剤性に主眼を置いて試験を行い、公表いたしました。今年度は更に、主だった気体による耐久性試験を行いましたので報告いたします。

2.試験依頼先
    財団法人 化学物質評価研究機構(CERI)

3.実験方法
 3-1.使用材料
     EPS JIS4号相当品 15kg/m3以上20kg/m3未満
     試験片形状 100mm×100mm×25mm
     試験体養生 成形(ブロック)後常温1ヵ月  カット(バーチカルカット)後常温1週間
 3-2.試験条件
     ①圧力   1気圧(1013.25hPa)
     ②温度   23度(常温)
     ③ガス濃度 50%(残り空気)  95%~100%
     ④使用ガス メタン(CH4)    硫黄酸化物(SO2)
         硫化水素(H2S)   アンモニア(NH3)
     ⑤接触時間 10分        24時間
     ⑥数量    n=3
 3-3.浸漬方法
     ガスチャンバーに実験用ガスを充填し各条件ごとにEPSの変化を観察する。
 3-4.評価事項
     外観(写真にて撮影)
     寸法変化
     重量変化

4.結果
 別途報告書通り
 今回使用したガスでは、外観変化等は特に見られませんでした。従って写真での外観変化もありません。

5.解説
 報告書を見ると、重量変化が見られますが、これはEPSの気泡の中のガス置換が起きたものと考えられます。その重量の増減の傾向に関しましては、空気に対して比重の重いガスの場合重くなり、比重の軽いガスの場合軽くなるようです。






試験報告書

1.外観変化(変形、収縮、変色等の有無)
気体の濃度:50%
  試験時間
使用薬品 直後 10分後 24時間後
①メタンガス(CH4)
異状なし 異状なし 異状なし
②硫黄酸化物(SO2)
異状なし 異状なし 異状なし
③硫化水素(H2S))
異状なし 異状なし 異状なし
④アンモニア(NH3)
異状なし 異状なし 異状なし

気体の濃度:100%
  試験時間
使用薬品 直後 10分後 24時間後
①メタンガス(CH4)
異状なし 異状なし 異状なし
②硫黄酸化物(SO2)
異状なし 異状なし 異状なし
③硫化水素(H2S))
異状なし 異状なし 異状なし
④アンモニア(NH3)
異状なし 異状なし 異状なし

2.寸法変化率
気体の濃度:50%
  試験時間
使用薬品 直後 10分後 24時間後
厚さ 厚さ 厚さ
①メタンガス(CH4)
±0.0 -0.1 -0.1 ±0.0 ±0.0 -0.1 ±0.0 ±0.0 ±0.0
②硫黄酸化物(SO2)
±0.0 -0.1 -0.1 ±0.0 ±0.0 ±0.0 ±0.0 ±0.0 ±0.0
③硫化水素(H2S))
±0.0 ±0.0 -0.2 ±0.0 ±0.0 -0.1 ±0.0 ±0.0 ±0.0
④アンモニア(NH3)
±0.0 -0.1 -0.1 ±0.0 ±0.0 -0.1 ±0.0 ±0.0 -0.1

気体の濃度:100%
  試験時間
使用薬品 直後 10分後 24時間後
厚さ 厚さ 厚さ
①メタンガス(CH4)
±0.0 ±0.0 -0.1 -0.1 ±0.0 -0.1 ±0.0 ±0.0 ±0.0
②硫黄酸化物(SO2)
±0.0 ±0.0 ±0.0 ±0.0 ±0.0 ±0.0 ±0.0 ±0.0 -0.1
③硫化水素(H2S))
±0.0 -0.1 -0.1 ±0.0 ±0.0 ±0.0 ±0.0 ±0.0 ±0.0
④アンモニア(NH3)
±0.0 -0.1 -0.1 ±0.0 ±0.0 -0.1 ±0.0 ±0.0 -0.1

3.重量変化率
気体の濃度:50%
  試験時間
使用薬品 直後 10分後 24時間後
①メタンガス(CH4)
-0.2 -0.6 -1.0
②硫黄酸化物(SO2)
+0.1 +0.6 +1.2
③硫化水素(H2S))
+0.1 -0.1 -0.9
④アンモニア(NH3)
-0.4 -0.4 -1.6

気体の濃度:100%
  試験時間
使用薬品 直後 10分後 24時間後
①メタンガス(CH4)
-0.7 -1.0 -2.4
②硫黄酸化物(SO2)
+0.5 +1.0 +1.9
③硫化水素(H2S))
+0.2 +0.2 -0.8
④アンモニア(NH3)
-1.3 -2.1 -3.1